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キャラ | セリフ |
---|---|
??? | あら……? どこから迷い込んだのかしら? こんな所に猫が来るなんて。 |
(謎の人物が姿を表す) | |
??? | ようこそ。ミルクの一つでも出してあげたいところなんだけど……。 |
??? | そんな時間はなさそうね。見て。 |
(人の顔より一回り程度大きい泡が出現する) | |
??? | ねえ、あなた、ちょっとサポートしてくれる? |
??? | これより行うは、ダンマクカグラ。御魂鎮めし、清浄なる神楽。 |
??? | 大丈夫。怖いのは最初だけよ……。さあ始めましょう! |
(暗転)1) | |
(暗転) | |
(大きい泡が消える) | |
??? | サポートありがとう。ただの迷い猫かと思ったのに、見事だったわ。 |
??? | あなたを見込んで、ひとつ頼みたいことがあるんだけど……、自己紹介がまだだったわね。 |
??? | 私は、八雲紫。 |
紫 | 山奥にある結界に閉ざされた不思議な土地……『幻想郷』に暮らす、ただの妖怪よ。 |
紫 | ところで、あなたは幻想郷を知っていて? |
紫 | 幻想郷は、あなたたちの世界で忘れ去られた幻想ーーー妖怪、悪魔、神霊が集まる場所。 |
紫 | そんな数多の幻想と、ほんの少しの人間が共に暮らす平和な世界。それが幻想郷なのよ。 |
紫 | それで、あなたに頼みたいことなんだけど、実はね、その幻想郷が……、 |
紫 | この穴の先を、覗いてみてくれる? |
(穴が出現し視界を覆う) | |
紫 | ……見ての通りよ。 |
紫 | ある時、幻想郷が保ってきた妖怪と人間のバランスが崩れ……、 |
紫 | 結界もろとも、すべてが滅び去ってしまったの。 |
紫 | ただ……、 |
紫 | ……見て? あれは、さっきのシャボン玉よ。この何もない幻想郷に、あれが現れるの。 |
紫 | 本来は、人や物に憑いて、その性質を作り変えてしまう厄介な代物なんだけど……。 |
(元の世界に戻る) | |
紫 | さっきのダンマクカグラをすれば、シャボン玉は浄化され、こうしてエネルギーに変換される。 |
紫 | ……ね? 失われてしまったものを幻想郷に復興できるというわけ。 |
(暗転) | |
紫 | あれは、外の世界の人……つまり、あなたたちが夢想した幻想郷の一幕が形を得た物。 |
紫 | だから、お願い。ダンマクカグラをすることでこの更地となった幻想郷を……、 |
紫 | ふふ、ありがとう。 |
紫 | それじゃ、さっそく幻想郷の復興をしていきましょうか……って、あら? |
紫 | 博麗神社に、人の気配がするわね。ちょっと、向こうを覗いてみてくれる? |
(穴が出現し視界を覆う) | |
紫 | ……霊夢? |
紫 | あれは、博麗霊夢だわ。博麗神社の巫女よ。 |
紫 | きっと、神社が復興したことで戻ってきたのね。 |
(暗転) | |
紫 | けど、いくらなんでも殺風景すぎるわね……。エネルギーを使って、何か置いてみましょう。 |
霊夢 | ……わ、びっくりした。 |
霊夢 | 空から光が降ってきたと思ったら、そこから木が生えるなんて。 |
霊夢 | ……ま、いいか。 |
(霊夢が歩いて去っていく) | |
(暗転) | |
紫 | うん。ちゃんと設置できたわね。 |
紫 | こうやって、スポットの復興度を上げていけば、人も集まって賑やかになっていくわ。 |
紫 | それに、新しい幻想郷のスポットもどんどん復興できるようになっていくのよ。 |
紫 | たくさんダンマクカグラをして、エネルギーを集めて、あなただけの幻想郷を作ってね。 |
紫 | ダンマクカグラのことは、この世界の住人なら、みんな理解しているから、サポート頼むわね。 |
紫 | ……え? どうして私がやらないのかって? |
紫 | それが、あいにく、やらなくちゃいけないことがあるのよ。どうしてもね。 |
紫 | でも、もちろん、ちゃんとサポートするから安心していいわ。そのかわり……、 |
紫 | 手数料として、エネルギーの30%をもらうけれどね。……ふふっ。2) |
キャラ | セリフ |
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紫 | あら、いらっしゃい。 |
紫 | どうやら、神社に誰かがやってきたみたいよ。ちょっと様子を見てみましょう。 |
(穴が視界を覆う) | |
博麗神社 | |
霊夢 | さて、水やり終わり……っと。いったい、どんな木に育つのかしらねぇ。 |
霊夢 | 桜かなぁ、梅かなぁ。食べられるものが生ったらいいんだけど。 |
(誰かが歩いてくる音) | |
魔理沙 | おーい、霊夢!何をのんきに水やりなんかしてるんだ!? |
魔理沙 | 周り見たか!? 私たちの幻想郷が、大変なことになっちまってるんだぞ! |
霊夢 | はいはい、なーんにもなくなってるんでしょ?魔理沙に言われなくても知っているわよ。3) |
魔理沙 | なんだ、もう知ってたのか。なら話は早い。さっさと解決しに行こうぜ。4) |
霊夢 | 別に、このままでもいいじゃないの。なんにもないけど、神社はあるんだし。 |
魔理沙 | いいわけないだろ〜?神社だけあったって、他になんにも……、ん? |
(シャボン玉が出現する) | |
魔理沙 | な、なんだ、このシャボン玉? |
魔理沙 | 夢魂? いや、似てるけど、ちょっと違う。……ん? んん? こ、これは……っ!? |
霊夢 | ええ? なによそれ。私、そんなの覚えないんだけど。 |
魔理沙 | ま、そうだよな。私も、こんな貧乏な霊夢は見たことない。 |
魔理沙 | つまり、これは誰かが見た夢とかで、そんでそれが、外の世界から流れてきたのかも。 |
霊夢 | あんまり近づかない方がいいんじゃない?そんな、わけわかんないものに。 |
魔理沙 | ……ん? ああ、確かにそうだな。どうにも、よくない気配がビシバシするぜ。 |
魔理沙 | よくないものは、浄化しないとな。せっかくだし、アレを試してみるか。 |
霊夢 | アレって……。アレ? |
魔理沙 | そう、アレだ。始めるぜ! ダンマクカグラ! |
(暗転)5) | |
(暗転) | |
(シャボン玉が浄化される) | |
霊夢 | …………。 |
魔理沙 | よっしゃ、バッチリ決まったな!どうだ、私の華麗なダンマクカグラは……、 |
魔理沙 | ……霊夢? 何ぼーっとしてるんだ? |
霊夢 | あー、ごめん。なに? |
魔理沙 | いや。まあそれより、さっきのシャボン玉、アレなんなのか知ってるか? |
霊夢 | シャボン玉の名前なら、知らないわよ。 |
魔理沙 | そんじゃ、私が名前をつけてもいいな。あれは誰かが見た夢が入ったシャボン玉だから……、 |
魔理沙 | 決めた。ユメミタマだ!6) |
(暗転) | |
紫 | ユメミタマ、ね。いいじゃない。 |
紫 | これでまた、神社にアイテムを置けるようになったということ。 |
紫 | さっそく、ひとつ置いてみたらどう? |
キャラ | セリフ |
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紫 | いらっしゃい。ふふふ、実はね……。また、神社に誰かやってきたみたいなの。 |
紫 | 今度は誰かしらね?ちょっと様子を見てみましょうか。 |
(穴が視界を覆う) | |
博麗神社 | |
(空が光る) | |
魔理沙 | うわっ! 空から光が降ってきたと思ったら、急になんか出てきたぞ! |
霊夢 | 出てきたのは、それだけじゃないわよ。 |
魔理沙 | なんだって? |
(誰かが歩いてくる音) | |
あうん | こんにちは。霊夢さん、魔理沙さん。狛犬の、高麗野7)ですー。 |
魔理沙 | おまえ、あうんじゃないか! |
あうん | いや〜、神社が復興して、本当によかったなぁ。これで、安心して狛犬業ができるってもんです。 |
(ユメミタマが出現する) | |
あうん | ん? なんですか、このシャボン玉みたいなの。何か、私が映って……? |
魔理沙 | おいおい、そんなに近づかない方が……。 |
(ユメミタマがあうんの身体に吸い込まれる) | |
あうん | きゃっ!? |
魔理沙 | な、なんだ!?あうんの身体に、ユメミタマが……!? |
(あうんに変化が起こる) | |
霊夢 | まさか、取り憑かれた?ちょっと、あうん! 大丈夫? |
あうん | きゃうん♪ |
霊夢 | あら。 |
あうん | (霊夢に近づく) |
あうん | くぅ〜ん♪ 霊夢さーん。散歩に行きましょうよぉ。わんわんっ。 |
魔理沙 | ど、どうしたんだ、あうん……? |
霊夢 | うーん、明らかに様子がおかしい。でも、これはこれで面白いわね。あうん、お手。 |
あうん | わんっ!8) |
魔理沙 | いや、遊んでる場合か! |
魔理沙 | あうんの様子がおかしくなったのは、きっとユメミタマに憑かれたせいだ。 |
霊夢 | でしょうねぇ。だから、そのユメミタマが浄化すれば……。 |
魔理沙 | そうだ! ダンマクカグラで元に戻せる!今助けるぞ、あうん! |
霊夢 | まあまあ、そんなに慌てなくてもいいじゃない。 |
魔理沙 | やるって言ったらやるんだ! |
(暗転)9) | |
(暗転) | |
(ユメミタマが出現する) | |
あうん | う、うう〜ん……?私は何を……? |
(ユメミタマが浄化される) | |
魔理沙 | 何も覚えてないのか? ユメミタマにとり憑かれて、おかしくなってたんだぞ。 |
魔理沙 | まあでも、無事に元に戻ってよかったぜ! |
あうん | まあ……。なんだか、すみません〜。 |
霊夢 | でも、ちょっと残念……。おかわりとか伏せも教えたかったのに。 |
魔理沙 | おまえなぁ。 |
紫 | 狛犬に憑いたユメミタマは、無事に浄化されたみたいね。 |
キャラ | セリフ |
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紫 | ふふ、ようこそ。ちゃんと、アイテムを置けたみたいね。 |
紫 | この前のことを覚えてる? ユメミタマに憑かれた狛犬を、魔理沙が助けたんだったわね。 |
紫 | それじゃあ、今日もみんなの様子を見てみましょうか。 |
(穴が視界を覆う) | |
博麗神社 | |
(空が光る) | |
あうん | 突然現れましたね〜。それに、さっきの光もなんなんでしょうか。 |
魔理沙 | うーむ。よくわからんが、これまでのことを整理してみると……。 |
魔理沙 | ダンマクカグラをすると、ユメミタマが煙になって空へ昇っていく。 |
あうん | ふむふむ。 |
魔理沙 | で、その後に空から光が降ってきて、こんな風に、物が増える。 |
霊夢 | そうね。 |
魔理沙 | ってことは、きっとあの煙は、幻想郷を復興するエネルギーってことなんだよ。つまりだな……! |
魔理沙 | 私たちがユメミタマを浄化していけば、この幻想郷を、どんどん復興できるってわけだ! |
あうん | おお〜! なるほど! |
魔理沙 | そうとなれば、ダンマクカグラをしまくって幻想郷を復興しようぜ! 私たちの手で! |
あうん | はい! ね、霊夢さん! |
霊夢 | 私はパス。あんたたちに任せるわー。 |
あうん | ええっ!? ど、どうして? |
霊夢 | だって、めんどくさいじゃない。 |
魔理沙 | ふっふっふ……。いいぜ、霊夢。おまえがやらないって言うんなら……。 |
魔理沙 | 幻想郷の復興大使は、この私がもらったぁ! |
霊夢 | どーぞ、どーぞ。好きに持ってってちょうだい。 |
魔理沙 | (ガッツポーズ) |
魔理沙 | じゃ、遠慮なく。行くぞ、あうん! |
(魔理沙が走って去っていく あうんは急いで付いていく) | |
(霊夢は笑顔で手を振る) | |
あうん | ええっ!? ちょっ、魔理沙さ〜ん!? |
(暗転) | |
魔理沙 | ああ。大きい方は、満ち欠けもしないし、昼も夜もずっと同じ場所に浮いてるんだよな。 |
魔理沙 | まるで、行く先がわからない迷子みたいに……。迷子の月だから、彷徨月10)とでも呼ぶか。 |
あうん | 彷徨月……。 |
魔理沙 | ほら、さっさと来ないと置いてくぞー。 |
(魔理沙が走り出す) | |
あうん | あ、待ってくださいよ〜! |
(あうんも走り出す) |
キャラ | セリフ |
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紫 | いらっしゃい。どうやら順調に幻想郷を復興しているようね。さすがだわ。 |
紫 | さて、今日もあちらの様子を見てみましょう。この前は、たしか……。 |
紫 | ユメミタマを浄化すれば物が増えると気付いた魔理沙が、復興大使を名乗ったんだったわね。 |
紫 | 霊夢は、のんきにしていたけれど。とにかく、覗いてみましょうか。 |
(穴が視界を覆う) | |
博麗神社 | |
(水音) | |
魔理沙 | お、今日も水やりしているな。だいぶ大きくなってきたじゃないか。 |
霊夢 | なんの木だか、知らないんだけどね。それより、魔理沙。これはどういうこと? |
魔理沙 | なんのことだ? |
霊夢 | 神社に集まってきた、こいつらのことよ! |
魔理沙 | 人間だって、ちょっとはいるじゃないか。というか、参拝客なんて、もともとゼロだろ? |
霊夢 | これから増える予定だったのよ。あちこち復興したみたいだしね。 |
魔理沙 | おまえは、あんまり何もしてないけどな。紅魔館の時はちっとも動かなかったし。 |
菫子 | 聞いたよ、マリサっち。再上映異変だっけ?たまにそんなのが出るんだってね〜。 |
菫子 | ていうか、ユメミタマの浄化って結構大変だよね。毎回ダンマクカグラしなきゃいけないし。 |
咲夜 | 本当に。お屋敷にもよく現れるから困る……って、言ってるそばから、ユメミタマだわ。 |
(ユメミタマが出現する) | |
菫子 | あのさ、結局これってシャボン玉じゃん?普通に割ったらダメなわけ? |
菫子 | その辺の小石とかぶつけてさ。え〜いっ。 |
(小石がユメミタマに当たる) | |
咲夜 | あ、それやめた方が……。 |
菫子 | 地面も黒く汚れちゃったし……。もう、なんなのよ、これー! |
パチュリー | それは、現実を黒く侵食するエネルギー。 |
パチュリー | 見た目が似ているから、……そうね。瀝青11)とでも呼びましょうか。 |
菫子 | 瀝青……。 |
パチュリー | ダンマクカグラとは、言わばこの瀝青を浄化してきれいなエネルギーに変えるための神楽なの。 |
パチュリー | ……って、本に書いてあったわよ。 |
魔理沙 | なるほどね。復興のためには、やっぱりダンマクカグラをしなきゃいけないってことか。 |
魔理沙 | よし! これからもユメミタマをガンガン浄化して、幻想郷を復興させようぜ! |
霊夢 | 元気ねぇ。 |
(暗転) | |
(獣の鳴き声) | |
霊夢 | 山の端遠く、いづる夜の……。 |
霊夢 | ……そういうことね。 |
(霊夢が歩いていく…) |
キャラ | セリフ |
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紫 | いらっしゃい。お久しぶりかしら?この前、どんなことがあったか覚えてる? |
紫 | そうそう。ユメミタマを割ったら、瀝青というものが、こぼれてしまって……。 |
紫 | 幻想郷の復興のためには、やっぱり、ダンマクカグラが必要だってわかったのよね。 |
紫 | さて……。それじゃ。さっそくみんなの様子を見てみましょうか? |
(穴が視界を覆う) | |
博麗神社 | |
魔理沙 | おーい、霊夢〜……。って、いないのか? |
魔理沙 | 最近、ダンマクカグラを邪魔する不届き者が現れたらしいから、相談しに来たんだが……。 |
あうん | あれ、魔理沙さん? |
あうん | 霊夢さんなら、いませんよ〜。なんだか、最近忙しいみたいで帰ってこなくて。 |
魔理沙 | 帰ってこない? |
魔理沙 | 今まで、あんなにだらだらしてたくせに……。いったい、どこで何をやってるんだ? |
(ユメミタマが出現する) | |
あうん | あら、ユメミタマが。 |
魔理沙 | ちょうどいいや。霊夢もいないし、ここでひと暴れさせてもらうとするか……、って…… |
(鋭い音を立てて飛んできた何かがユメミタマに当たる) | |
あうん | あぁ、お掃除したばかりなのに瀝青が〜! |
魔理沙 | まさか、ダンマクカグラを邪魔するっていう、噂の不届き者か?出てこい! |
(誰かがゆっくりと歩いてくる) | |
魔理沙 | なっ……。お、おまえ……! |
魔理沙 | 霊夢!! |
霊夢 | 悪いけど、これ以上あんたたちにダンマクカグラをさせるわけにはいかないのよ。 |
魔理沙 | ……どういうつもりだ。なんで、幻想郷復興の邪魔をする? |
霊夢 | そんなの、ロカを守らなきゃいけないからよ。 |
魔理沙 | ……はぁ? ロカ? なんだそれ。巫女のくせに、妙な宗教にでもハマったのか? |
霊夢 | 違うわよ。ロカを守るのは、博麗神社の巫女である、私の務めってだけ。 |
魔理沙 | ……どうにも話が通じないな。おい、霊夢。 |
魔理沙 | そんなにダンマクカグラをさせたくなきゃ、力づくで止めてみるんだな。 |
魔理沙 | さあ、行くぜ! |
(暗転)12) | |
(暗転) | |
(激しい衝突音) | |
霊夢 | はい、私の勝ち。13) |
魔理沙 | うぐぐ……。な、なんでこうなるんだ。 |
霊夢 | いいわね、あんたたち。とにかくダンマクカグラはするんじゃないわよ。 |
(霊夢が去っていく) | |
あうん | あっ、霊夢さん……。行っちゃったわ。いったい、どういうことなんだろう……。 |
魔理沙 | ……急にダンマクカグラするなって言われても、納得できるわけないだろうが。 |
魔理沙 | 何考えてるんだよ、霊夢……。 |
キャラ | セリフ |
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紫 | あら、いらっしゃい。ふふふ、この前の話は覚えているかしら? |
紫 | そう……。霊夢がみんなを裏切って、ダンマクカグラを妨害し始めたのよね。 |
紫 | それでも魔理沙は、めげずにダンマクカグラを続けているみたいだけど……。 |
紫 | 今頃どうしているのか、ちょっと様子をみてみましょうか。 |
(穴が視界を覆う) | |
地霊殿 | |
魔理沙 | (何かを探し歩き回る) |
魔理沙 | ……よーし、あうん。霊夢はいないな? |
あうん | はい、魔理沙さん。どこにも見当たりません! |
魔理沙 | はー、よかった!ようやく一息つけるってもんだぜ。 |
魔理沙 | ここ最近、行く先々で霊夢と鉢合わせては、ユメミタマを割られまくってたからな〜。 |
あうん | 霊夢さん、すぐに妨害に来ますから……。ダンマクカグラをするの、大変でしたねぇ。 |
魔理沙 | 博麗の巫女が、幻想郷の復興に非協力的どころか、邪魔してくるなんて、ただごとじゃないぞ。 |
魔理沙 | ホントにあいつ、どうしちゃったんだろうなあ。 |
魔理沙 | 14)しっかし……。いつも薄暗い地霊殿だが、今日は、いつにもまして陰気臭いな。 |
あうん | たしかに、どことなく、あちこちが黒ずんでいるような……。 |
魔理沙 | なんか最近、どこ行ってもそんな感じだよな。幻想郷全体が汚れてるっていうかさ。 |
(ユメミタマが出現する) | |
魔理沙 | おっと、ユメミタマだ! よーし、久々にのびのびダンマクカグラをしてやる……、ぜ? |
(鋭い音を立てて飛んできた何かがユメミタマに当たる) | |
あうん | そんな! まさか、霊夢さんがどこかに!? |
魔理沙 | おい、霊夢! いるんなら出てこい! |
あうん | (辺りを見渡す) |
あうん | あ、あれぇ……?やっぱり、どこにもいませんね。 |
あうん | うん? なんですこれ。形代?(足元の形代に気づいて拾う) |
魔理沙 | ふーん、なるほどな。ユメミタマを割ったのは、こいつか。 |
魔理沙 | どうせ霊夢の仕業だろうが……。いったい、どこから、こんなものを飛ばしてきたんだ? |
あうん | ……あっ! もしかして、遠隔システム!? |
あうん | 形代を操って、遠隔でダンマクカグラを妨害するシステムを作ったんじゃないですか!? |
魔理沙 | そうか。そのシステムのせいで、最近、幻想郷が一層汚れてきてたのか……。 |
あうん | これからは、形代にも気を付けないとダンマクカグラができなくなっちゃいますねぇ。 |
魔理沙 | まったく、霊夢のやつ! ……けど、この程度じゃ、幻想郷復興大使はくじけないぞ! |
魔理沙 | 邪魔してくるっていうなら、それ以上にダンマクカグラしまくってやるぜ! |
キャラ | セリフ |
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紫 | さて……、この前のことを、おさらいしましょうか。 |
紫 | どうやら霊夢は、形代を使って、遠隔でダンマクカグラを妨害しているようね。 |
紫 | 妨害をかいくぐりながら、魔理沙たちがダンマクカグラに励んでいるみたいだけれど……。 |
紫 | それじゃ、二人の様子を見てみましょう。 |
(穴が視界を覆う) | |
紅魔館 | |
(鋭い音を立てて飛んできた何かがユメミタマに当たる) | |
あうん | これでもう十回連続……。最近、本当にユメミタマを浄化できませんね。 |
(ユメミタマが出現する) | |
(鋭い音を立てて何かが飛んでくる) | |
魔理沙 | あ、また! ええい、今度は割らせるかっ! |
(攻撃音 → 撃ち落とす) | |
魔理沙 | へへん! どうだ、撃ち落としてやったぜ!紙きれのくせに調子に乗りやがって……。 |
(鋭い音を立てて飛んできた複数の何かが次々とユメミタマに当たる) | |
あうん | どんどん形代が飛んでくる……。ひとつ落としたくらいじゃダメそうですね。 |
あうん | あれから、ずいぶん数が増えたみたいです。見て。形代が、空にたくさん……。 |
魔理沙 | こいつらがユメミタマを割りまくるせいで、今や、幻想郷は瀝青まみれだ。 |
魔理沙 | 霊夢は、本気でこの幻想郷をぶち壊すつもりなのか!? |
あうん | このままじゃ、復興どころじゃないですよ〜。なんとか遠隔システムを止めないと……。 |
魔理沙 | ああ。形代の出どころを突き止めて、霊夢の思惑を阻止してやろう! |
(紙が靡く15)音) | |
あうん | あれっ? 魔理沙さん、さっき撃墜した形代が動きだしてますー。 |
魔理沙 | 本当だ。どこへ行くつもりなんだろ。……あ、そうか! |
魔理沙 | あうん! こいつを追いかけるぞ! |
(魔理沙が走り出し箒に飛び乗る) | |
あうん | え? は、はい〜っ! |
(あうんも走り出そうとするが……) | |
あうん | ……あれ?彷徨月って、あんな色だったかしら? |
魔理沙 | おーい、早く来いよ〜! |
あうん | あ、はーいっ! |
(あうんが走り出す) |
キャラ | セリフ |
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紫 | なんだか、不穏な様子になってきたわねぇ……。あら、来てたのね。いらっしゃい。 |
紫 | せっかく復興の進んだ幻想郷なのに、どうやら瀝青まみれになってしまったようね。 |
紫 | 形代の出どころを魔理沙たちが探っているようだから、吉報を待ちましょうか。 |
紫 | そういえば、ちょっと気になる動きをしている人たちがいたのよ。そっちを覗いてみない? |
(穴が視界を覆う) | |
魔法の森 | |
菫子 | うわぁ。黒いのが溜まって、海みたいに……。これ全部、瀝青なのよね? |
菫子 | 空は形代だらけだし……。レイムっち、ホントどうしちゃったんだろ。 |
菫子 | このままじゃ、いつか幻想郷中が瀝青に沈んじゃうよ〜……。 |
??? | ふっふっふ……。あーっはっはっは! |
菫子 | ん〜? この無駄に楽しそうな笑い声は……。向こう岸からだ。行ってみよー! |
(歩く音) | |
(暗転) | |
(瀝青溜まりから発生する泡の音16)) | |
正邪 | くくく……。これほど瀝青が溜まっている場所を見つけてしまうなんて。運がいいなぁ、おい! |
正邪 | 聞いた話じゃ、これに触れると正気を失うらしい。そんな危険なモノが、こんなにあるなんて……。 |
正邪 | なんて好都合! こいつを使えば、どんなやつでも醜態を演じること間違いなし! |
正邪 | 我ら弱き物が、強き者の無様をあざ笑う……。あっはっは! 想像するだけで、つまらないぜー! |
(誰かが近づいてくる足音) | |
菫子 | あ! あんたは、天邪鬼の正邪! まさか、瀝青を使って悪だくみする気じゃないでしょうね! |
菫子 | ……ていうか、もっと下がった方がいいよ。そんな所に立ってたら落ちちゃうよ? |
正邪 | あー? 外来人か。はいはい、そんじゃ一歩下がってやるよ。 |
菫子 | ちょ、逆よ、逆! なんで前に出るの!瀝青に落ちちゃうってば! |
菫子 | あんなの、どう見たって身体に悪いじゃん!絶対、ぜーったい! 入っちゃダメだって! |
正邪 | はっ。絶対に入るな、だと?おいおい、そんなこと言われたら……。 |
正邪 | 絶対に、飛び込むしかないだろうが!うおおおおおっ!! |
(正邪は全力で瀝青溜まりに飛び込んだ17)) | |
菫子 | ちょ、なんでぇっ!?あ、天邪鬼ってワケわかんない……。 |
(激しい水音) | |
菫子 | ……っていうか、なんか溺れてるし!? わああ、早く助けなきゃ〜! |
菫子 | (急いで助けに向かう) |
菫子 | な、なんとか、引き上げられた……。正邪、大丈夫? なんか色がくすんでるけど。 |
正邪 | これが……大丈夫に、見え……、み……、見えるだなんて、心外ですわ。お嬢様。 |
菫子 | はっ!? な、なに!? 今の、咲夜さん!? |
正邪 | でも、あたいってば最強だからダイジョーブ!そんなことより、お茶でも飲みましょうよ〜。 |
菫子 | 次は、チルノちゃんからの幽々子さん!?ど、どうしたの、正邪!? |
正邪 | 何を呆けている。まったく修行が足りんな。ねー、私もう飽きちゃった。遊んでくるねー! |
菫子 | 今度は、豊聡耳神子さんからのこいしちゃん〜!?いやーっ! 正邪がおかしくなっちゃった! |
正邪 | ぜ、ぜぇっ……。くそっ、身体が勝手に。どうやって治せば……、うぐっ。 |
菫子 | うわぁ、すっごい苦しそう……っ。 |
菫子 | ど、どうにか助ける方法を探さなくちゃ。行こう、正邪! |
菫子・正邪 | (歩き出す) |
キャラ | セリフ |
---|---|
紫 | それじゃ、さっそく前回のおさらい。ついに魔理沙たちが、形代の巣を破壊したのよね。 |
紫 | でも、その矢先、空に黒い球体が現れて、幻想郷中のユメミタマを吸い込み始めた……。 |
紫 | ……ところで、瀝青に汚染された正邪を助けるために、奔走していた菫子のことだけど。 |
紫 | そろそろ、何か見つかったんじゃないかしら。さあ、様子を見てみましょう。 |
(穴が視界を覆う) | |
紅魔郷 | |
(歩く音) | |
正邪 | ぜっ、ぜぇっ……。 |
菫子 | あぁ、もう。どこに行っても、誰に聞いても、助ける方法がわからないなんて! |
菫子 | あとはもう、ここしか……! |
菫子・正邪 | (歩き始める) |
(暗転) | |
パチュリー | そう、そこの天邪鬼が瀝青に……。 |
正邪 | 諸行無常、ゆえに一切皆苦。雑念を捨て去り、一心に努めれば……、18)くそっ。また勝手に。 |
パチュリー | 愉快ではあるけれど、ちょっと気味が悪いわね。いいわ、そいつを助ける方法を教えてあげる。 |
パチュリー | まず、そもそも瀝青と呼んでいるあれが、本物のタールではないということは、いい? |
菫子 | 前に、現実を黒く侵食する汚染エネルギーだって言ってたよね。 |
パチュリー | ええ。あれは、外の人間の空想や妄想が元になって生まれたエネルギーなの。 |
パチュリー | 様々な思いが雑じり合った黒いエネルギー。そんなものに、身体ごと浸かったりしたら……、 |
パチュリー | 身も心も、魂の芯までも、きれいに黒に染め上げられてしまうわ。 |
菫子 | そ、それで……、黒くなっちゃった人を元に戻すには、どうしたらいいの? |
パチュリー | 本によれば……、黒に汚染された人に彩りを取り戻す、とっておきの秘薬があるの。 |
パチュリー | ただし、作るのはとっても大変。まず材料を集めなければいけないし、手順も複雑で……。 |
菫子 | それでも作るよ!お願い! その秘薬の作り方を教えて! |
パチュリー | ……いいわ。それじゃ、菫子。まずは、ここに書いた材料を集めてきてくれる? |
(暗転) | |
(食器の音) | |
菫子 | こうして、混ぜて……っ。よし、できた! |
パチュリー | あとは……。あ、咲夜。いいところに! |
パチュリー | 20年物くらいの、落ち着いた味のブランデーが必要なんだけど……。これ、熟成させてくれない? |
咲夜 | は? 熟成……?いえ、わかりましたわ。一瞬で終わらせます。 |
咲夜 | ……はい、終わりましたよ、ちゃんと、木樽で熟成させておきましたから。 |
パチュリー | さすが、咲夜。気が利くわね。 |
菫子 | つ、ついに……。 |
菫子 | いや〜、飲むの楽しみだな〜!肴は何にしようかな? |
菫子 | ……って、違うよ! 私が作りたかったのは、正邪を助ける秘薬なんですけど!? |
パチュリー | 落ち着いて。さあ、最後の仕上げといきましょう。 |
パチュリー | この林檎に、このブランデーを一滴垂らして…… |
(ブランデーの滴が林檎に垂れる) | |
19) | |
菫子 | え? パチュリーさん、今なんて……。 |
パチュリー | で、これを、そこの黒いのに押し込めば……。 |
(暗転) | |
正邪 | ぐ、うぅ……っ!うああああっ!(ガタガタと震え出す) |
(正邪の身体からユメミタマが出現する) | |
菫子 | す、すごい! 身体からユメミタマが出て、正邪を染めてた瀝青が、すっかり消えちゃった! |
パチュリー | ふふ……。これはね、銀枝20)の林檎という、特別な林檎なの。 |
パチュリー | 滅多に手に入らない、本当に貴重なものなのよ。たまたま、一つ残っててよかったわ。 |
菫子 | そんな貴重なものを……!ありがとう、パチュリーさん! |
菫子 | よーし!あとは、このユメミタマを浄化するだけね! |
(暗転)21) | |
(暗転) | |
(ユメミタマが浄化される) | |
正邪 | あー、そこの人間。なんだ……、その。……まあ、よくやったんじゃないか。22) |
菫子 | 何よ! 助けてあげたってのに、その言い方は!素直にお礼くらい言えないわけ〜!? |
正邪 | うるさい! そう言われたら、絶対言わないぞ!本当は、心の中ではめちゃくちゃ感謝しててもな! |
正邪 | こんな所に、もう用はない。私は、幻想郷をひっくり返す計画で忙しいんだ! じゃーな!23) |
パチュリー | まったく、私の図書館で騒がないでよ。ほら、あんたもそろそろ出て行って……。 |
(大きく揺れる) | |
菫子 | な、なに今の……!?外で何かあったのかも! |
パチュリー | (驚きで目を見開き 目蓋をぱちぱちさせる) |
菫子 | (走り出す) |
(強い風) | |
菫子 | し、しかもあの黒いの、幻想郷中のユメミタマを吸い込んでる……っ!? |
(暗転) | |
キャラ | セリフ |
---|---|
紫 | さて。前回は、菫子の頑張りによって、ついに正邪を助けることができたんだったわね。 |
紫 | 手放しで喜びたいところだけど……。今は新しい異変の方が気がかりよね。 |
紫 | 幻想郷中のユメミタマを吸い込んでいる、あの禍々しい黒い球体……。 |
紫 | 今頃みんなも、あれが浮かぶ場所、……博麗神社に集まってきているはずよ。 |
(穴が視界を覆う) | |
博麗神社 | |
魔理沙 | 霊夢、何やってんだよ!なんか、黒い変なもん作りやがって……! |
魔理沙 | こんな異変起こして、どうするつもりなんだ!? |
霊夢 | (魔理沙達の元に降りてくる) |
霊夢 | どうもこうも。私はロカを守るために、必要なことをしているだけよ。 |
霊夢 | この球体は、幻想郷に現れたすべてのユメミタマを吸い込む装置。 |
霊夢 | ロカのために、もう誰にもユメミタマの浄化はさせないわ。 |
あうん | また、ロカですか……。 |
魔理沙 | なんなんだよ……。いい加減、ちゃんと話してくれたっていいだろ。 |
魔理沙 | なんで、幻想郷の復興の邪魔をするんだ?なんで、ダンマクカグラをさせたくない? |
魔理沙 | ちゃんと言ってくれれば、協力できることだって、あるかもしれないのに! |
霊夢 | あのねぇ……。だから、ずっと言ってるでしょ。私は、ロカを守らなきゃいけないんだってば。 |
霊夢 | もうね、ロカが限界なのよ。だから、幻想郷を守るためには、こうするしかないの。 |
魔理沙 | おまえ、バカの一つ覚えもいい加減にしろ!幻想郷を守る? この状況のどこがだよ! |
霊夢 | あーあ。これだから、魔法バカは嫌なのよ。うるさい、邪魔くさい、視野が狭い。 |
菫子 | ちょ、ちょっと二人とも……? |
魔理沙 | はっ。そうかいそうかい。結局こうなるわけだな、霊夢? |
霊夢 | そうね、魔理沙。人の話を聞かないおバカさんは……。 |
霊夢 | 全力で叩きつぶすしかないわね? |
魔理沙 | 全力で吹っ飛ばしてやるぜ! |
(暗転)24) | |
(暗転) | |
魔理沙 | 私の……、勝ちだ! |
霊夢 | くそー……! |
(大きく揺れる) | |
あうん | 見て! 黒い球体が崩れて、吸い込まれていたユメミタマが、みんな飛び出していくわ……! |
菫子 | やったー!これで、異変解決ってことだよね! |
魔理沙 | お縄につく時だぜ、霊夢!しばらく、その中で反省してな! |
魔理沙 | こんなこともあろうかと、パチュリーの所から結界魔法の本を借りてきといて、よかったぜ。 |
あうん | もらってきた、の間違いじゃないですか? |
霊夢 | いいから出せー! 本当に、このままじゃ幻想郷が危ないんだってば! |
魔理沙 | 負け惜しみなら聞かないぜ。さーて、ダンマクカグラしてくるか! |
キャラ | セリフ |
---|---|
紫 | いらっしゃい、それじゃ、いつものように、前回のおさらいからね。 |
紫 | 魔理沙が霊夢を倒し、霊夢が起こした異変が無地に解決されたんだったわね。 |
紫 | 霊夢の妨害もなくなって、みんな、以前のようにダンマクカグラをして、復興に励んでいるわ。 |
紫 | そのおかげか、あれだけあった瀝青もすっかり姿を消したのよ。 |
紫 | ふふ。そんな平和な日常の中、みんな何をしているのかしらね? |
(穴が視界を覆う) | |
博麗神社 | |
(あうんが動き回る) | |
あうん | これはこっちで、あれはあっちで……。ああ、宴会の準備って忙しいですねぇ。 |
(あうんが動き去っていく) | |
(菫子が動き回る) | |
菫子 | お、重い……。ちょっとお盆に乗せすぎたかも。そーっと、そーっと……、あわわっ!? |
魔理沙 | おっと! ふー、間に合った。25)よし、つまみも菫子も無事だな。 |
魔理沙 | お待たせ。酒を調達してきたぞ!ま、あんま珍しいもんはないけどな。 |
菫子 | ありがとう。マリサっち〜!あ、珍しいお酒なら私が持ってるよ! |
魔理沙 | おっ、外の世界のものか。そいつは楽しみだぜ! な、霊夢! |
魔理沙 | はいはい。心配しなくても、ちゃんと取っておいてやるって。 |
魔理沙 | それじゃあ、みんな!そろそろ宴会を始めるとするか! って……。 |
(辺り一体が暗くなる) | |
魔理沙 | ん? なんだ? 急に暗く……。 |
あうん | あら? なんだか、彷徨月が黒くなってる?……い、いや。違うわ。あれは、あれは……っ! |
26) | |
(誰かが駆けつける) | |
正邪 | おい、おまえら! こりゃどうなってんだ!?異変は解決したんじゃねーのかよ! |
菫子 | えっ、正邪!? |
正邪 | あの黒い月、大量の瀝青を吐きまくってる!このままじゃ、幻想郷が瀝青に沈むぞ! |
菫子 | そ、そんなっ! |
霊夢 | ……だから、言ったでしょ。 |
霊夢 | 幻想郷が危ないって。ロカは、とうとう限界を迎えてしまったのね。 |
魔理沙 | どういうことだ……!? |
キャラ | セリフ |
---|---|
紫 | それじゃ、前回の話をおさらいするけど……。 |
紫 | 異変解決の宴会をしようとしたら、彷徨月から大量の瀝青があふれ出てきたのよね。 |
紫 | どうやら霊夢は、事情を知っているみたいだったけれど……。 |
紫 | みんなは大丈夫なのかしら。とにかく、様子を見てみましょう。 |
(穴が視界を覆う) | |
27) | |
博麗神社 | |
魔理沙 | ……霊夢。今度こそ本当に、全部、きちんと、説明してもらうぞ。 |
魔理沙 | (霊夢に近づき、結界を解く) |
霊夢 | ええ。あなたたちが、一から十まで説明しないと何も理解できないバカなのは、身に染みたもの。 |
魔理沙 | はぁー?おまえの説明が、意味不明だったんだよ。 |
魔理沙 | ……まあ、いいや。それで結局、何が起こってるんだ? |
霊夢 | じゃあ、最初から話すわね。そもそも、あなたたちは勘違いしているようだけど……、 |
霊夢 | 幻想郷を復興するエネルギーは、ダンマクカグラでユメミタマを浄化してできるわけじゃないわ。 |
あうん | え……? で、でも実際、浄化すればするほど復興は進みましたよ? |
霊夢 | そうね。でも私たちは、ユメミタマから出た瀝青のエネルギーを、空に送っていただけ。 |
霊夢 | 汚れたエネルギーをきれいに浄化して、幻想郷に返してくれていたのは…… |
霊夢 | あの彷徨月の向こうにいる、ロカなのよ。 |
魔理沙 | ロカ……。結局、「何者なんだ?月の向こうにいるってことは、月の民ってことか? |
霊夢 | 違うわ。あれって月のように見えるけど、本当は、この世界の境界に開いた穴だから。 |
霊夢 | その向こうにいるロカは、この幻想郷において、博麗大結界と同じ役割を担う存在なの。 |
霊夢 | この、新しい幻想郷を守るシステム。この世界には存在しない博麗大結界の、代理役。 |
正邪 | ……は? ちょっと待て、この世界には、外と内を隔てる博麗大結界が、ないだって!? |
霊夢 | そうよ? だから、結界を守る博麗の巫女としての使命がなくて、いまいちやる気が出なかったのよね。 |
霊夢 | でも、ロカが結界と同じだと気づいたから……。あれを守るのが、私の使命だって決めたのよ。 |
魔理沙 | ……いや、いやいや。待て。情報が多くて混乱するんだが。 |
霊夢 | 情けないわねぇ。まあ、とにかく! |
霊夢 | あんたたちが、ダンマクカグラをしすぎたせいでロカの浄化能力が限界を超えてしまったのよ! |
霊夢 | 彷徨月だって、どんどん陰っていったでしょ?……まさか、それにも気づいていなかったとか? |
魔理沙 | き、気づいていたに決まってるだろ?28)なあ、あうん! |
あうん | ええ。たしかに、彷徨月の色がおかしいような気がしていました。29) |
魔理沙 | そうだったのか……。30)と、とにかく、今の状況はこういうことだな!? |
魔理沙 | ロカに溜まった瀝青が限界を超えたから、彷徨月から幻想郷にあふれてきている! |
霊夢 | そうよ。で、このまま放っておけば、ロカは死ぬ。そして、ロカが死ねば……。 |
霊夢 | せっかく生まれ変わったこの幻想郷も、私たちもみんな、おしまいよ。 |
菫子 | そ、そんなぁ……。何か打つ手はないの!? |
魔理沙 | どうにかして、ロカを助けないとだ。でも、瀝青に汚染されたやつを助ける方法なんて……! |
菫子・正邪 | ……あっ!?(菫子31)と正邪32)の目が合う) |
キャラ | セリフ |
---|---|
紫 | まさか、そんな……。霊夢が言ってるロカって、あなたのことじゃない! |
紫 | つまり、このままだと、あなたは……っ! |
(穴が視界を覆う) | |
博麗神社 | |
菫子 | ねえ! 瀝青に汚染された人を助ける方法なら、私、知ってるよ! |
魔理沙 | 本当か、菫子!? |
菫子 | うん。瀝青に飛び込んで黒くなった正邪を、銀枝の林檎って秘薬で助けたのよ。ね、正邪。33) |
魔理沙 | やるじゃないか! これで解決だな! |
正邪 | で、肝心の銀枝の林檎は、どこにあるんだ? |
菫子 | あっ……。 |
魔理沙 | なんだよ〜。林檎くらい、どっかで拾ってこれないのか? |
菫子 | それが、パチュリーさんが言うには銀枝の林檎って、すっごい貴重なんですって。 |
菫子 | たしか、百年以上、毎日世話をしないと枯れてしまう銀色の木に……。 |
正邪 | 月夜の晩にだけ生る超貴重な林檎……って、そんなもん、どこから拾ってくるんだ? |
魔理沙 | つまり、まるっきり手の出しようがない絶望的な状況ってことか……。 |
あうん | あ、あの〜! もう時間がありませんよ!瀝青が、どんどん神社に迫って……!! |
(大きく揺れる) | |
魔理沙 | くそっ、ここまでか!? |
霊夢 | ……待って。 |
霊夢 | あるわよ。銀の木に生る、林檎。 |
菫子 | ……え? |
魔理沙 | これ、おまえが、ずっと育ててた木じゃないか!まさか、この木が……! |
(ブランデーの滴が林檎に垂れる) | |
菫子 | あ、あれっ!? 光らない? なんでぇっ!? |
魔理沙 | お、おい! 何やってんだよ!早くしないと、ヤバイぞ!? |
菫子 | ええと……、あっそうだ! パチュリーさん、あの時、何か呪文を唱えていたような……! |
菫子 | ア……、アルトサックス! |
菫子 | ち、違った!? じゃ、アルトリコーダー!……これも違う〜!? |
(どんどんと揺れが大きくなっていく) | |
あうん | わあ〜っ!? 瀝青が一つに集まって、怪物みたいになってますよぉ!? |
(激しく揺れる → 歩き始める) | |
霊夢 | しかも、あのデカブツ、暴れまわってる!急いで、菫子! 攻撃が当たったら終わりよ! |
菫子 | そ、そんなこと言われても〜!アルト……、なんだっけ!? アルド……!? |
正邪 | ……アルドカローロ。34) |
正邪 | 勘違いすんな。私はただ、私以外のやつが幻想郷を壊すのが気に入らねーだけだ。35) |
菫子 | レイムっち、はい! これを押し当てれば、ロカから瀝青を追い出せるはずよ! |
霊夢 | わかった!(菫子から受け取る) |
霊夢 | ちょっと待たせたわね……。それじゃ……、行っけえええっ!!36) |
(衝撃音 → 激しく揺れる) | |
魔理沙 | よっしゃ、彷徨月が白に戻った!瀝青も止まったみたいだぞ! やったな、霊夢! |
霊夢 | ……まだよ! |
菫子 | そっか、正邪の時と同じで、身体から出た瀝青が、ユメミタマになったんだ……! |
霊夢 | あとは、こいつよ!こいつを倒せば、本当に、すべてが白になる! |
(暗転)37) | |
(暗転) | |
霊夢 | ……なんとか、間に合ったわね。 |
紫 | ああ、無事でよかった! |
紫 | 本当にごめんなさい。まさか、あなた自身が、瀝青に侵されていたなんて……。 |
紫 | 私の調整が、間違っていたみたいだわ。すぐに直しておくから、もう安心して。 |
紫 | ……この先も、外の世界の人が幻想郷を思う限り、ユメミタマは現れ続ける。 |
紫 | 放置すれば、幻想郷は瀝青にまみれる。だから、これからもダンマクカグラを続けてね。 |
紫 | だって、ここは世界にたった一つきりの、あなただけの幻想郷なんだから。 |
キャラ | セリフ |
---|---|
博麗神社 | |
魔理沙 | え〜……。それでは、今度こそ本当の異変解決を祝いまして……。 |
魔理沙 | いやー、本当に色々あったなあ。幻想郷がまっさらになって、復興を始めて……。 |
菫子 | レイムっちが、ダンマクカグラを妨害して、瀝青が、どんどん幻想郷を汚染してったねー。 |
あうん | それで霊夢さんを止めたら、今度は彷徨月から瀝青があふれ出してしまって……。 |
菫子 | でも、銀枝の林檎で無事解決! 正邪が瀝青に飛び込んでくれたおかげだね。あはは。 |
あうん | そういえば、その天邪鬼は? |
菫子 | 声かけたけど、断られちゃった。仲良しこよしは、御免だってさ。 |
魔理沙 | しっかし……、色々と驚いたよなぁ。まさか、この幻想郷に博麗大結界がないなんて。 |
霊夢 | 結界の代わりはちゃんとあるから、別にたいして変わらないけどね。 |
魔理沙 | 博麗大結界の代わり……、ロカだっけ。そういや、なんでロカって名前なんだ? |
霊夢 | え、名前? ロカの? |
霊夢 | そんなの単に、汚れたものをきれいにするろ過装置っぽいから、ろ過ってだけよ? |
魔理沙 | ロ、ロカって……、そういう……。 |
あうん | でも、霊夢さんは、そのシステムに、どうやって気づいたんです? |
霊夢 | それは……。 |
(回想シーン開始) | |
霊夢 | ……わ、びっくりした。38) |
(回想シーン終了) | |
霊夢 | ……まあ、いいじゃないの。色々あったのよ。 |
魔理沙 | なんだよ、変なやつだな〜。 |
魔理沙 | ……おっと、もう飲み終わっちまった。新しいの持ってくるぜ。 |
あうん | おつまみも減ってきましたね。追加で、ちょっと作ってきますよ〜。 |
菫子 | 私も手伝うよ! いこいこー! |
魔理沙・あうん・菫子 | (歩いていく) |
紫 | やっぱり、宴はいいわねぇ。これそ、まさしく大団円。めでたし、めでたし。 |
紫 | ……ふふ。 |
紫 | これから先も、楽しみね? |