巫女が主犯を倒し、異変は解決した。
……あれから、幾分の時が流れただろうか。
「あら、こんなところで会うなんて奇遇ね、霊夢」
「何が奇遇よ。おおかた、
相手をしてほしくて待ち伏せてたんでしょ?
いつもいつもやり方が回りくどいのよ、あんたは」
あのとき対峙した吸血鬼と巫女の少女は、今ではもう気心の知れた仲。
「さあ、どうかしら。
そんなことより、お腹がすいたわ。
せっかくだし、
どこかにご飯でも食べにいきましょう?」
「お嬢様に庶民の味が合うとは思えないけどね。
そもそも、どうして今日は咲夜と一緒じゃないの?
ついに見限られちゃった?」
「屋敷においてきたわ。霊夢ぐらい
私ひとりで大丈夫、って伝えてね」
皮肉も多い。突拍子もないことも多い。――しかし、不思議と悪い関係ではない。
「まぁ、いいわ。ちょうど暇を
持て余していたところだったし。
紅魔館で一緒に月見でもする?
……今日の月は、とてもきれいだから」
「霊夢にしてはロマンチックな提案ね、
気に入ったわ。
それじゃあ、咲夜に準備をさせましょう。
とびっきりの紅茶を用意してね」
「あんたの相手をするんだもの。今日は――」
「……ふふっ。今日は――」
レミリアは一歩前に足を踏み出し、霊夢の手を引く。
「楽しい夜になりそうね」
「永い夜になりそうね」